Uターンして新たなスタート!富良野らしさを追求し、思い描いたアットホームなホステルへ
今回インタビューしたのは、富良野市街地にあるHostel TOMAR(以下、トマール)を運営するBeing株式会社の代表取締役 西川 斐子(にしかわ あやこ)さん。
今年5周年を迎えるトマールは、4月から富良野市のふるさと納税に宿泊券を出品されています。
富良野市のご出身で関東圏を中心に栄養士として働いていた彼女が、Uターンして宿泊施設を運営するに至った経緯、そしていつでもアットホームな雰囲気で迎え入れてくれるトマールや併設するKitchen EVELSA(以下、エベルサ)の特徴についてお伺いしました。
1.ゼロからの挑戦、手探りで始めたホテル経営の裏にあったのは、立ち上げメンバーと地域との絆
ー西川さんは富良野市ご出身とのことですが、Uターンしてすぐにトマールの立ち上げをされたのでしょうか?
「最初は両親が経営する富良野市内の食品会社で栄養士の仕事をしていました。そもそもUターンのきっかけは、父の体調が芳しくないからだったんです。
富良野市で働き始めて3年くらい経った時に、現在のトマールが入っている空きビルを活用した複合施設 コンシェルジュフラノができるという話が入ってきました。
富良野市街地では比較的新しいホステルという業態を取り入れることになったため、当時平均年齢60歳という会社の中で一番若かった私がマネージャーを任され、トマールがスタートしました。
その後、2021年12月にBeing株式会社として独立。コンシェルジュフラノを運営するふらのまちづくり会社のグループ会社としてリスタートしました。」
ーこれまでとは畑違いである宿泊業の立ち上げにはどんな苦労があったのでしょうか?
「立ち上げ時は札幌市のゲストハウスや富良野市内のデザイン会社など、多くの方から力を借りました。オープン後は、宿泊業未経験のスタッフとともに手探りで運営していました。そのおかげか、みんなが日々新たなことにチャレンジしフォローし合う空気が生まれ、スタッフ同士の結束力が強まったことは、とても大きな意味があったと感じています。」
2.北海道の香りに包まれながら、トマールのスタッフと楽しむアットホームな富良野滞在
ートマールのコンセプトや施設の特徴を教えていただけますか?
「『アットホームで気軽に泊まれる』をコンセプトとしています。寮のような安くて誰でも泊まれる宿をイメージしていたこともあり、雰囲気はもちろん価格の面でも気軽に来てもらえるよう意識しています。
建物の統一感という面ではウッド調をベースにしており、使われている木材はほとんどが北海道のトドマツです。木材としての特徴は、匂いを吸収し香りを出しやすいことです。ドミトリーのベッドにも使われており、朝お客様がチェックアウトして時間が経つと木の香りが戻ってきて、心地よい空気を維持できているなと感じます。」
「1階に併設している電源・Wi-Fi付きカフェスペースのエベルサは、朝7時から22時まで利用でき、ドリンクや軽食を提供しています。宿泊のお客様は無料で利用できますので、ソファ席やカウンター、小上がりスペースといったお席から、その時の気分で居場所を選んでゆっくり過ごしていただけたらと思います。」
ートマールは今年5周年を迎えるということですが、今後どんな施設にしていきたいと考えているのでしょうか?
「自然に恵まれている北海道の富良野だからできることとして、お客様と気持ちを共有しながら自然環境へのアクションを起こせるようにしていこうと考えています。
エコなことに取り組もうという流れは昔からあるものですが、トマールのコンセプトにフィットする部分もあるので、宿泊施設ならではのサービスや体験を少しずつですが進められたらと思っています。
第一弾の取り組みとして、ウッドバーニング体験(苗木防草プレート作り)と植樹体験の呼びかけを行っています。
こちらの体験は、ゴルフ場跡地を自然に還す活動を行っている富良野自然塾さんが提供されているプログラムです。私とスタッフたちは実際にウッドバーニング体験を行ったので、その様子をアルバムにしてトマールのロビーでご覧いただけるように展示しています。」
ー開業から5年を経て、富良野らしいことを提供しようと改めて思うようになったのは、どうしてでしょうか?
「立ち上げ時はとにかく目の前のことに必死でした。開業2年目にはコロナの脅威を受け、それをようやく乗り越えた今、富良野市に住んで宿泊施設を運営する私たちこそ、富良野市の自然を大切にすべきだと改めて感じました。
また『アットホームで気軽に泊まれる宿』というコンセプトに沿って、スタッフたちは業務的として接客をするというより、自分自身が接客を楽しみながら、お客様にも楽しんでいただくことを大切にしています。
トマールには海外や道外のお客様も多く、接客を通して異文化交流のような体験ができるため、私をはじめスタッフたちにとっても貴重な環境だと思っています。
お客様も富良野に暮らすスタッフたちと気軽にお話しすることで、富良野をさらに知って、富良野での滞在をより楽しんでいただけたら嬉しいです。」