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「広大なところに住みたい!」と京都から北海道に移住したメロン農家が教えてくれる、富良野メロンの真の魅力とは?

いよいよ収穫最盛期となった富良野メロン
今回はこの富良野メロンを作られている松本農園松本 祥典(まつもと よしのり)さんにお話を伺いました。
松本さんは京都府のご出身で、『広大なところに住みたい!』と思い富良野市に移住、メロン農家としての道を歩み出しました。
ほがらかな空気を纏い、時折意表をついて笑わせてくれるチャーミングな一面も素敵な松本さんが語る、繊細なメロンを扱うおもしろさや独自のこだわりとは?
この記事を読み終えたときには、より一層、富良野メロンを美味しくお楽しみいただけるはずです。

富良野メロン(イメージ)


1.妥協なし!誇り高き富良野メロン


ー富良野メロンの特徴を教えてください。

「品種自体は道内のどこでも作っている4品種なんですよ。
ただそれぞれの良さが最大限出る時期に、特徴に合わせた栽培方法で作っています。どの品種も甘味が強くて、果肉がしっかりしているから日持ちが良いんですよ。だから発送や贈答用に向いています。
よく耳にする夕張メロンってすごく香りが良いんですよね。それに比べると若干風味は少ないかな。でも実は富良野メロンの方が糖度が高いです。夕張メロンは12〜13度程度、富良野メロンは15〜16度前後あって、17度まで上がることも珍しくないです。」

《出荷時期別の富良野メロン4品種》
6月中旬〜7月中旬頃 :ルピアレッド
6月下旬〜7月中旬頃 :ティアラ(栽培期間がルピアレッドに比べて長いため少し遅れて出荷される)
7月上旬〜9月上旬:R113U(暑さに強く実崩れせず、暑くても糖度が高くなる)
8月中旬〜:R113(真夏の暑いときは糖度が低いが、秋になると糖度が高くなる)

あと1〜2週間ほどで収穫時期を迎える富良野メロン(ルピアレッド)
まだまだ小さい富良野メロン(R113U)


ー松本さんが作る富良野メロン、そのこだわりは?

「正直メロンはとても手間がかかります。それにすごく繊細です。
例えばハウスの管理。暑くなったらハウスのサイドを開けて、寒くなったり雨が降ったら閉める。片側からの風が強ければそちらだけ閉めたりと、外気温や湿度によってハウスの中の状態を調節します。最近は自動で温度調節ができる機械もありますけど、僕は温度管理が一番重要であり、メロンの味・見た目・形すべてを左右すると思っているので、大事に手作業で行っています。
あとは、メロンっておしりの部分から病気が入るんです。なので汚れないように、一つ一つお皿の上に実を乗せていきます。一つ病気になると周りのメロンにまで移ってしまうので、手間はかかるけど絶対にやったほうが良いんですよね。
自分の中で、"メロンの状態がこうなったら収穫の合図だな"というのもあるんですけど、それはちょっと秘密です(笑)」

メロンのおしり部分


2.広大な富良野に移り住み、農業をする


ー富良野にいらしたのはいつ頃ですか?

「今から26年前だから25歳のときかな。人生の半分は富良野で過ごしてますね。僕は京都出身で、25歳まで京都から出たことがなかったんです。だから広大なところで田舎暮らしをしてみたくて
よく旅行で北海道に来ていて、富良野・美瑛あたりが大好きだったんですね。それで富良野に来て最初は、中富良野町のメロン農家で住み込みで働いていました。」

松本農園のメロンハウス


ーその後ご自身の農園を始められるまでの経緯は?

「住み込みはひとシーズンで終えたので、その後はアパートを借りて、富良野市の山部(やまべ)っていう地域のメロン農家に研修に行ったり、農業ヘルパーをしたりっていうのを7〜8年やってました。
農家って世襲制のイメージが強いでしょ?今でこそ新規就農って広く知られてますけど、その頃ってそんな情報まったく知らなかったんです。でも"近くに新規で就農した人がいるよ"っていう話を聞いて、33歳くらいの時に自分の農園を作りました。
ちょうど長男が生まれた年に就農したので、1年目はメロンを作っていません。準備期間としてハウスを建てたり、近くのスイカ農家さんのお手伝いに行ったりしていました。」


ーどうしてメロンを作ることにしたんですか?

「メロンに魅力があったからですかね。メロンって個性が出るんですよ。中身も見た目も、作り手によって全然違うんです。手間をかけているかどうかも見れば分かります。以前お店に行ったとき、並んでいるメロンの形とか網目を見て『俺のだ!』って分かったんですよ。それで商品番号を確認したら、やっぱり自分の作ったメロンでした。だから自分の個性が出せるところに魅力を感じたかな。」


ー農業を始められるとき、ハードルの高さは感じませんでしたか?

「もちろん大変でしたけど、農業は、他の仕事に比べて、国や自治体からの資金面の支援が手厚いと思います。農業は地域や人との関わりがすごく深いです。僕一人で農業は始められませんでしたけど、富良野に来てお世話になった多くの農家さんをはじめ、周りの人たちの応援があったからこそ今の自分がいると思います。本当に感謝しかありません。自然相手だから努力が報われないことも多々ありますけど、今も楽しくやれています。
だから若い人たちにも、農業を職業の選択肢の一つに入れてほしいなって思いますね。会社勤めも良いんですけど、こうやって自営業で自分が経営者となって仕事をするっていうのも良いんじゃないかと思っています。」

松本さんと2ショット


編集後記

松本農園さんにお邪魔したのは6月中旬頃で、収穫が始まる1〜2週間前でした。
実はこの時期にメロンを収穫しても、あまり美味しくないんだそうです。収穫直前の10日間で一気に甘くなり、収穫後も食べられる状態まで熟す”追熟"に、さらに10日ほど時間がかかるそう!富良野メロンの繊細さと、手間や時間がかかっていることがよく分かります。
また、秋に収穫されるメロンは夏のメロンとは異なる美味しさとのことで、どんな違いがあるのか、食べ比べが今から楽しみです!


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