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北海道の大人気土産“ドゥーブル・フロマージュ”の生みの親は、スイーツ×DXの最先端だった!?

富良野市の高台にある菓子工房 フラノデリスを営む藤田 美知男ふじた みちお)さん。実はこの方、北海道土産として有名なチーズケーキ“ドゥーブル・フロマージュ”の生みの親なんです!
ドゥーブル・フロマージュの他にもふらの牛乳を使用したふらのプリンは、富良野市のふるさと納税返礼品としても大人気。
そんなスイーツたちへのこだわりはもちろん、スイーツづくりに縛られないさまざまな経歴を持つ藤田さんの濃密な半生を覗いてみてください。

フラノデリスの入口


1.「終わりよければすべてよし」を体現するデザート


ー幼いころからお料理やお菓子づくりに興味をもたれていらっしゃったんですか?

「僕は岐阜県の揖斐郡春日村(現:揖斐川郡揖斐川町)の出身なんですけど、実家が仕出し屋だったんです。小さい頃から魚を焼いたりお弁当を並べて盛り付けしたり、夏休みには毎朝市場に行ったりしてましたね。
親には『家を継いでくれ』と言われたけどやりたくない気持ちがあって。だけどあまりにもかけ離れた職業だと反対されるので、実家の仕出し屋の和食系ではなく、フランス料理や洋食系を目指すことに決めて、大阪にある辻調理師専門学校のフランス料理を専攻しました。」


ーそこからお菓子の道へ進むことになったきっかけはなんですか?

「専門学校卒業後は神戸のフランス料理屋さんに就職したんですけど、そこがお菓子の道へ進むきっかけになりました。
フランス料理ってコースで出てくるんですけど、最後のデザートの良し悪しでお客様の表情が変わるのを目の当たりにしたんです。専門学校時代は菓子のことをあまり勉強していなかったので『これはちゃんとやらないと』と思って、大阪の堺市にある洋菓子店で働くことにしました。
2年くらい経ったら料理の方に戻ろうと思ってたんですけど、段々と面白くなってきて。当時東京の新宿中村屋にものすごく有名なパティシエがいて、どうしてもそこで働きたくなって『給料無しでいいから雇ってくれ』って言って入ったんです。」

作業中の藤田さん


2.お弁当のビラ配りから情報システムまで!複数の会社を渡り歩く


ーその後はどんな歩みだったんですか?

「僕はちょっと経歴が多くて(笑)
新宿中村屋の後は北海道の新得町(しんとくちょう)にあるクラブメッド北海道サホロのデザート部門で働いて、その次は東京の宅配弁当屋にいました。電話で注文を受けて割と高級な料理を届けるというようなところです。最初はビルに入っているオフィスに片っ端からお弁当のチラシを配り続けていたんです。結構な注文が来るし単価も高いから1日300万円の売上があったりして。この時に『どこかにチラシを置いておくだけじゃだめで、手から手に渡らないと伝わらないんだな、直接届けることはとても重要なんだ』と学びました。

その後はロイズレストランというハワイに本店があるお店が日本に出店するというので、面白いなと思って入社しました。ハワイで三か月くらい研修をした時に、ニューヨークスタイルのチーズケーキの上に他の食材をのせて出していたのを見て『これに何か別のチーズをのせたら面白いんじゃないか』って思ったのが、ドゥーブル・フロマージュの始まりです。

その次に入ったのはシステムの会社でした。
元々お菓子のレシピをまとめるために、当時車を買うような値段のMacを買って触れていて。そこから業務用のアプリケーションを作るソフトにハマって、このソフトをつくっている会社で働いたらもっと覚えられるんじゃないかと思って入社して、お客様からのソフトの使い方やバグの質問に答える仕事をしていました。
今のお店のシステムなどもこのソフトを使って全部自分で作ったものなんです。レジや従業員のタイムカードが全部ネットワークになっていて、レシピを出したりメールの送受信もできます。」

フラノデリスのレジシステム


3.北海道の素材で作られたスイーツを通販で全国に


ーさまざまなご経験をされて、最終的に富良野市でお菓子屋さんを営むことになったきっかけはなんですか?

「システム会社の後、お菓子のパッケージデザインや店舗のプロデュースをしている東京の会社に入って、コンサルや商品開発、通販の仕組みを作るようなことをしていました。この頃から独立しようと考えてたんですけど、通販って面白いんじゃないかと思ってきて。それだったら北海道のような良い食材が揃うところでなにか作りたい、そこから全国に送ったらいいんじゃないかと考えました。
富良野市なら北海道の真ん中にあるから、どこからでもいろんな食材を集めやすいと思って富良野市に店舗を探しに行って、2時間くらいで店舗を即決したんですよね。それから開業準備をして2001年5月10日にオープンしました。
地元の方がたくさん来てくれてたんですけど、僕はその頃から通販をやろうと思ってたんです。だから当時では珍しいドメインが入った看板を掲げていました。
初めから一部商品の発送はやっていたけど、仕組みやWEBサイトをしっかり作って通販を始めたのはオープンの翌年だったかな。」

オープン当時のショーケース
右のMacを見たお客様に「なんでここに炊飯ジャーを置いてるの?」と聞かれたそう。
現在の店舗にある発送受注スペース


ー現在の店舗に移転されたのはいつ頃ですか?

「オープンから3年後かな。手狭になってきたし移転しようと考えてたら、たまたま今のところが売地になっていて。見つけてすぐその場で不動産屋に電話して買いますって言いました。
店舗の外観も内観も、通販で商品を買ってくれた方が富良野に来た時に、『こんなところでスイーツを作ってたらいいな』と思うような店にしたいと思ってこだわりました。なのでぜひお店のテラス席でスイーツを食べてほしいですね。」

左側がイートインスペース


4.季節によって味が変化するふらのプリン


ー返礼品にも出品されているお菓子の特徴やこだわりを教えてください。

ふらのプリンに使われているふらの牛乳は、ノンホモジナイズといって成分を均一化していない牛乳で、上の方に脂肪分が溜まりやすいんですよね。
だからプリンの最初の一口目は濃厚で、それ以降だんだん味が変化していって、最後はカラメルと混ぜて食べる。コース料理を順番に食べていくようなイメージに仕上げています。また夏と冬で牛乳の脂肪分が変わるので、プリン自体も夏はあっさりで冬は濃厚になります。

ふらのプリン

ドゥーブル・フロマージュの下層はニューヨークスタイルのベイクドチーズケーキのように濃厚に焼き上げて、上層はマスカルポーネチーズのムースでさらっと口の中で溶ける食感にしています。
僕のおすすめは冷蔵庫から出して少しムースがやわらかくなった頃。ムースのとろっとした食感がソースのようになって、しっかりと存在感のある下層と一緒に食べることでお互いの味を引き立て合うようになっています。」


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