チーズづくりをするため富良野に移住!ものづくりへの情熱とチーズへのこだわりとは一体・・・?
今回はふるさと納税にチーズの詰め合わせやチーズとふらのワインのセットを出品されている、富良野チーズ工房(株式会社 ふらの農産公社)をピックアップ。こちらでチーズ・バター・牛乳の製造や商品開発を担当されている製造課長の小林 裕之(こばやし ひろゆき)さんにお話をお伺いしました。
チーズの製造見学ができる富良野チーズ工房で、まるでテーマパークのキャストさんのようにチーズづくりの様子をパフォーマンスするサービス精神旺盛な小林さん。バラエティ豊かな6種類のチーズへのこだわりや、食品づくりに関わることになった経緯に迫りました。
1.人間にとって不可欠な"食べもの"をつくる仕事がしたい
ー小林さんが富良野チーズ工房でチーズづくりに従事されるまでの経緯を教えてください。
「ふらの農産公社に就職したのは今から23年前ですね。もともとは流通業で5年ほど働いていて、商品の袋詰めをしたりお客様と直接交流したりしていたんですけど、徐々にものをつくることをやってみたいと思いだしたんです。
それで転職先を探していた時に、知人にふらの農産公社を紹介していただいて、今に至ります。」
ーものづくりがしたいと思ったきっかけは?
「中学生の進路を考えていた時期に『食べ物は人間にとってなくてはならないものだな』と感じて、食べ物に関わることを学ぼうと思って地元兵庫県の農業高校食品加工科に進学したんです。
高校では今と同じようにチーズ・バター・牛乳を作ったり、他にも農作業をしたり、漬物を漬けたり、 校内向けの紙パック入り乳酸菌飲料などを作っていました。
こういった経験をしていたので初心に戻るという気持ちで、もう一度ものづくりの世界に飛び込みたいと思いました。」
ーどうして兵庫県から遠く離れた北海道の地へ?
「はじめて北海道に来たのは高校の修学旅行だったんです。青函連絡船に乗って函館に上陸して、札幌や知床など4泊5日で道内を回ったんですよね。
その時に『北海道っていいなあ、楽しいなあ』と。兵庫県と全く違う風景が素敵だなと感じて、大学は北海道江別市にある酪農学園大学を選びました。」
「ふらの農産公社に転職するタイミングで、当時住んでいた江別市から富良野市に移り住んだんですけど、実は以前から富良野市には1年に1回くらい来ていて。
というのも僕は北の国からという富良野市が舞台のドラマが好きだったので、麓郷地区にあるドラマのロケ地に足を運んだり、観光がてらドライブをしたりしていました。なので富良野市に移住することにハードルを感じることはなかったですね。」
2.多彩な6種類のチーズ、そのこだわりとは?
ー小林さんご自身はチーズをよく召し上がるんですか?
「僕は嗜む程度ですけどお酒が好きで、中でもワインをよく飲むんです。だからワインと一緒に自社の製品を食べたり、他社製品や輸入もののチーズを研究がてら食べていますね。」
ー富良野チーズ工房では6種類のチーズが販売されていますが、小林さんが一番好きなものやおすすめはありますか?
「モッツァレラが一番好きですね。これは市内のスーパーにも置いてなくて、富良野チーズ工房に来ないと買えないんです。
富良野チーズ工房の隣にピッツァ工房という施設があるんですが、モッツァレラはもともと、この施設で提供しているピッツァに使うためだけに作っていたんです。ただ『ピッツァに使われているチーズが欲しい』というお客様が増えたことで、その要望にお応えして売店でも販売するようになりました。個人的に開発を担当したチーズでもあるので、思い入れがありますね。」
「一番のおすすめはやっぱり主力商品のメゾン・ドゥ・ピエールですかね。
見た目はスーパーなどでもよく見かけるカマンベールチーズに似ているんですが、
チーズの王様と呼ばれているブリー・ド・モーという直径35cm以上ある大きい白カビタイプのチーズをモデルにして作っています。
カマンベールより少しあっさりしてカビの苦味が少ないので、カマンベールやチーズそのものが苦手な方でも食べやすいです。」
ー他4種類のチーズについても詳しく教えていただけますか?
「ワインチェダーはふらのワインの赤を使って大理石模様になるように作っているチーズです。ほのかに赤ワインの風味が感じられて少し大人向けかもしれません。見た目が綺麗なので、お土産やプレゼントに最適ですね。」
「セピアは真っ黒で見た目で敬遠されがちなんですけど、イカ墨パウダーを添加しているので、メゾン・ドゥ・ピエールよりもさらにあっさりでクセがなく食べやすいとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。」
「ホワイトはミルキーでほのかな酸味のあるソフトタイプのチーズです。黄色いワックスに包まれているので、それを剥がしてカットして、そのままサンドイッチに挟んでも美味しいですし、焼くととろけて伸びるのでチーズフォンデュやピザなどの料理に使ってもいいですね。地元のお菓子屋さんでチーズケーキの材料にも使っていただいています。オールマイティに使えるので迷ったらまずこれを買うと良いと思います。」
「玉ねぎチーズは富良野市が一大産地である玉ねぎとチーズを合わせようということで出来た商品です。富良野市産の玉ねぎを粒が残るくらいの大きさにカットして乾燥させたものを混ぜ込んでいます。
玉ねぎとチーズの風味はそれぞれ個性が強いので合わないと思われがちなんですけど、意外と調和していて隠れた人気チーズですね。お酒、特にビールに合います。これもトースターなどで焼くと、とろけてさらに美味しくなります。」
3.観光客だけじゃない、富良野市民に愛されるチーズ
ー市内のスーパーや飲食店で富良野農産公社さんの商品をよく見かけますが、お土産としてだけでなく地元の方にも親しまれてほしいという思いがあるのでしょうか?
「そうですね。やっぱり地元の方々にも召し上がっていただけるようにしたいなと思っています。だから市内のスーパーや飲食店にも商品を置いていただいているんですが、結構コンスタントに商品を追加させていただいているので、地元の方々にも手に取っていただけているんだなと実感します。」
ー観光施設として人気の高い富良野チーズ工房ですが、地元の方向けに行われている催しなどもあるんですか?
「ひとつは毎年2月に行われているピッツァ感謝祭ですね。日頃の感謝を込めて通常価格よりも格安でピッツァを提供しています。期間中は結構お客様がいらっしゃって賑わってますよ。
あと9月のチーズ祭りでは、うちのチーズや牛乳を使っていただいているお店が施設内に露店を出すんです。
どちらも開催期間が短くて観光客の方が合わせていらっしゃるのは難しいかもしれないので、地元の方向けということで開催していますね。」
編集後記
小林さんに「テーマパークのキャストさんみたいですね!」とお伝えしたところ、製造しているところを常にお客様に見せられるわけではないので、見てもらえるタイミングでは少しでも興味を持って楽しんでもらえるようにキャストさんをイメージしていらっしゃるとのこと。
富良野チーズ工房ではチーズの製造工程が見られる工場見学ができたり、チーズの世界史を学べたり、チーズづくりなどの体験も可能です。
ふるさと納税でこちらのチーズを味わったあとは、ぜひ富良野チーズ工房へいらしてみてくださいね!