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富士山の麓から北海道へ移住!新規就農でミニトマト農家になった夫婦

今回の記事は7月下旬に行われた女性の就農を推進する「農家のオシゴト体験会」にて、トマト農家の藏ファームさんにお伺いした際の体験記です。

ー 農家のオシゴト体験会 とは? ー
2021年から始まった、女性の就農を推進する参加無料の農業体験プログラム。
「農業に興味があるけど働く時間や期間に制限がある。農作業をやったことがないけどできるのか。一緒に働く農家さんの雰囲気を知りたい。」といったお悩みを直接農家さんに相談できる体験会です。
さまざまな農家さんの中から興味のあるところを選び、2時間ほどの間に簡単な農作業体験と座談会が行われます。

山梨県出身の藏 恵一郎(くら けいいちろう)さんと静岡県出身の絵里子(えりこ)さんご夫婦が営む蔵ファームでは、約10種類のミニトマトを栽培されており、ふるさと納税にもこちらのミニトマトを出品されています。
軽トラックを富士山ナンバーにするほど富士山大好きな恵一郎さんと、そんな恵一郎さんを明るく支えるしっかり者の絵里子さんに、今回の体験会を通して、富良野市でトマト農家を始められるまでのエピソードや地域とのかかわりについて伺いました。

(左)藏 恵一郎さん (右)絵里子さん


1.いざ!ミニトマト収穫体験

今回の体験会には、私わだふも一参加者として同席させていただきました。
まず始めにミニトマトの収穫方法のレクチャーを受けます。気をつけるポイントは以下の2つ。

①収穫していいミニトマトは全体が真っ赤に色付いているものからヘタの近くが多少オレンジがかっているものまで。
収穫ペースが2日に1回のため、今は真っ赤になっていなくても2日後には熟れすぎてしまう。多少色が薄くても収穫するのがベストとのこと。

②取り方はヘタの1cmほど上にある関節のような部分を折る。
ヘタが取れてしまうと規格外となってしまうため慎重に!

ヘタ上の膨らんで関節のようになっているところから折る

ポイントをおさえて早速収穫していくのですが、最初は枝から切り離す作業に手こずり、時間が掛かったりヘタが取れてしまったりしましたが徐々に慣れてきました。ただ色味の見極めはなかなか難しく、最後まで『これは取っていいのか?』と不安になりながら作業していました。私が収穫し終えたところを蔵さんがチェックしてくれるのですが、いくつか取りこぼしがあり悔しかったです(笑)

ハウスの中はトマトが6列並んでおり、そのうちの1列45mほどを20〜30分かけて収穫しました。取材時は7月、天気は雲ひとつない快晴で気温が27〜8℃ほどだったため、ハウスの中は蒸し暑く作業が終わる頃には汗だくでした。
ちなみにトマトは収穫できる時期が他の農産物よりも長く、例年5月〜10月の霜が降りる前まで続くそうです。涼しくなるにつれてトマトの実がなる位置が高くなっていくとのことで、今回は暑さに加えてしゃがまないと取れない位置に実が多かったため、収穫作業の中でも一番大変な時期なのかなと感じました。

ハウスの中


2.地域とのかかわりを大切に

農作業体験の後は藏さんと参加者による座談会タイム。ここで、気になっていた富良野でトマト農家を始められた経緯などをお伺いしました。


ーこちらの農園はいつから始められたんですか?

「2010年から富良野市でいろんな農家さんのお手伝いに行く農業ヘルパーを始めたんですよね。そこから研修などを経て、2015年にこの藏ファームを始めました。新規就農ですね。」


ーどうして富良野市で農家をされることに?

「うちの父親が富良野市出身なんですよ。僕は住んだことがないんですけど、父親の実家が富良野市にあって繋がりはありました。僕自身は大学で北海道にきて、その後はずっと札幌で建築関係の仕事をしていたんですが、退職して富良野市に来たという流れです。
農業をしようと思ったのは、なんでだろう?(笑)
会社員と自営業を経験して思ったのは、自営業の方が良いなということ。もちろんサボると自分に返ってくるけど、達成感は断然自営業ですね。それに農業は自分の好きなものを作れるから楽しいです。僕は自分の好きなものしか作らないと決めてます!」


ー富良野市内のさまざまな場所で藏さんのミニトマトを発見するのですが、販売や卸しは市内を積極的に行なっているんですか?

「そうですね。今は市内の飲食店や宿にいくつか卸してますね。これからパン屋さんにも卸す予定があります。
営業に行くというよりは、いろんなところに顔を出して出来た関係性から話が広がって、ご縁につながったという感じです。
もちろん農協に出すことも大事ですけど、僕自身農家を始めた時に富良野市内のいろんな方にお世話になったから、できれば地元に密着したところに置いてもらう、使ってもらうことも大切にしたいなと思っています。
『あそこのトマト美味しいね』って言ってもらって、何度も手に取ってもらえると嬉しいですね。」

収穫したミニトマト


3.農家のお手伝いは働き方が柔軟?!


ー収穫作業は思っていたより大変でした。今はご夫婦お二人でされているんですか?

「今はパートさんひとり、農業ヘルパーさんひとりの計4人でやっているんですけど、もう一人くらい欲しいですね。
今ここで働いてくれている5年目のパートさんは、初めの頃はお子さんがまだ小さかったので短時間でシフトも少なめだったんですけど、今は学童や習い事にひとりで行けるからってことで、週5で朝8時半から15時まで入ってくれてすごく助かっています。本当は農業ヘルパーさんに頼らずパートさんで回せるのが理想なんですけどね。
うちの農園ではお子さんがいても成長段階合わせて仕事のボリュームが変えられるように考えているから、一つの働き方として考えてもらいやすいのかなと思っています。」

藏ファームさんで栽培しているさまざまな種類のミニトマト

編集後記

先日富良野市内のスーパーで藏ファームさんのミニトマトを見かけて購入してみました。私はそのまま食べる方が好きなんですが、煮込み料理にも使ってみたところ大きいトマトと違ってベチャベチャせず、かつ彩り良くしてくれてとても使い勝手が良いなと感じました。
藏さんのお子さんは藏ファームさんのミニトマト以外食べないそうで、お二人は嬉しいような食べてほしいような複雑な気持ちになっているとのことです(笑)

藏ファームの返礼品はこちら