環境先進都市 富良野が取り組む、ゼロカーボンシティ実現へのアクションとは?【令和5年度寄附の使い道 Vol.3】
今回はふるさと納税の寄附金の使い道紹介 第3弾。使途の分類5つのうち「市長が必要と認める事業」から、2050年ゼロカーボンシティ実現を目指すための取り組みをご紹介します。
「ゼロカーボン」という言葉自体は知っていても、説明できない方が多いのでは?面積の7割を森林が占め、ゴミの分別14種・リサイクル率90%という環境先進都市 富良野が目指す、ゼロカーボンシティとは一体どんなものなのでしょうか?
2050年 ゼロカーボンシティ宣言
ゼロカーボンとは、人為起源の二酸化炭素排出量と森林などによる吸収量を等しくさせ、二酸化炭素排出量を実質ゼロに抑えること。 富良野市では、令和3年4月に 「ゼロカーボンシティ」を表明し、 2050年までに市内のゼロカーボン実現に向けて取り組みを進めています。
そして、令和5年4月にゼロカーボンシティ実現に向けた道筋を示す富良野市 脱炭素ロードマップを策定。2030 年度及び 2050 年度に向けた温室効果ガス削減目標を定め、5つの柱を設定し、取り組みを進めています。
自分なりのゼロカーボンアクションを
ロードマップの中では、産業・業務(事業所/ホテル)・家庭・運輸の4部門に分けた削減目標が示されています。
業務(事業所・ホテル)や家庭向けにはふらのゼロカーボンアクション100+αという、市民ひとりひとりに実践してほしい行動例を100個まとめたブックもあり、今回はこちらの内容や作成の背景を、富良野市 市民生活部 環境課 ゼロカーボン担当の石出(いしで)さんに伺いました。
ー ふらのゼロカーボンアクション100+αを作成した背景を教えてください。
「2018年度における富良野市の二酸化炭素排出量の内訳を見ると、4部門のうち住宅内での消費にかかる家庭部門が28%、ついで人・物の輸送運搬にかかる運輸部門が25%となっており、産業部門(第一次産業/第二次産業)・業務部門(第三次産業)よりも高い割合となっています。つまり、日常生活の中で一人ひとりが排出する割合がとても大きいということなんですね。だから、まずは個人の排出量を減らしていくため、このブックを作成しました。
100個の行動例を参考にしつつ、それぞれ自分なりのゼロカーボンアクションを+αして、みんなでできることから取り組んでいきましょうという想いが込められています。」
ー ゼロカーボンアクションを広めるため、どんな取り組みをされているのでしょうか?
「まず一つは、住宅用太陽光発電や薪・ペレットストーブ購入に対する補助金制度です。太陽光発電購入補助金に関しては、すでに今年度分の上限に達しています。」
「また富良野市公式YouTubeチャンネルでは、ふらのゼロカーボンアクション100+αの行動例を劇形式で紹介するショート動画を公開しています。富良野高校演劇部の生徒たちが構成を考え出演している動画もありますので、ぜひ見て見てください。」
「そしてワークショップや親子向けセミナー、展示会といったイベントもコンスタントに行っています。
太陽光発電設備やペレットストーブの展示会を実施して、実物を見てもらうことで設置イメージを湧きやすくしたり、セミナーでは、『日本人はペットボトルを年間185本消費している』という文字情報とともに、実際にペットボトル185本を展示したり、『二酸化炭素を排出しているのは誰ですか?』という質問の正解ブースに鏡を設置して自分自身だと気づいてもらったり、環境と自身の関係性を体感的に理解してもらう仕掛けを意識して作っています。」
「2024年1月9日(火)までの期間限定ではありますが、私なりのゼロカーボンチャレンジというキャンペーンも実施中です。
これは、ゼロカーボンアクションを写真におさめて特設サイトに投稿すると、特典がもらえるというものです。投稿者はもれなくオリジナルトートバッグが手に入り、抽選でふらのワインやチーズといった特産品、水素ロケット実験キットなどの景品が当たります。」
子どもたちの未来のため、小さなまちから変えられること
「世界的に見れば日本の二酸化炭素排出量は全体の3%程度ですし、富良野市のような小さなまちが何か行動を起こしても、世の中が劇的に変わることはありません。
だからといって何もしなくてもいいわけではなく、この小さなまちの一人ひとりの行動が世の中の意識を変えることにつながるかもしれない、100年後の未来に子どもたちに良い未来を残すため、他人事ではなく自分事と考えて行動していただきたいです。」
「富良野市はこれまでリサイクルの取り組みに注力してきた背景もあるので、それらをもう一歩前進させ、ゼロカーボンシティ実現を目指し取り組んでいきます。」